嫌なことを忘れる方法|忘れたいのに思い出す心理学的な原因
子供の頃のトラウマ。学生時代にいじめられた記憶。仕事のミスで怒られたことや失恋の悲しみなど、大人になってからの苦い思い出。嫌な出来事って、早く忘れたいと思っていても、なかなか忘れられないですよね。
思い出したくないことほど、ふいに蘇るものです。つらい体験がいつも頭から離れないと、仕事や勉強が手につかないです。夜寝る前に突然思い出すと、落ち込んで眠れないまま朝を迎えることになります。
本日は、嫌なことを忘れる方法の心理学です。過去を思い出さないようにするには、どうすればいいのか?感情を吐き出すワークや望ましい状況の想像による、トラウマの克服と嫌な記憶を消す技術をお教えします。
嫌なことばかり思い出す心理
嫌なことがあったときは、当然嫌な気分になります。振り返るのも不快なので、深く考えないようにします。するとその出来事を消化できず、一定期間経過したあともモヤモヤが心の中に残ってしまう場合があります。
嫌な記憶をよく思い出すのはなぜかというと、未完了の思いが存在するからです。解消できていない感情があると、その一件が過去のことであったとしても、心理的には終わっていない状態になるのです。
急に思い出しても胸が苦しくなったりせず、嫌な目にあったことを数年後には、「そういえば、そんなことも昔あったね」なんて笑えるようになる人は、その時点ではもう十分に感情を消化できているからといえます。
昔のことをずっと忘れられない原因は重要だから
社会的に衝撃だった出来事は、時間がたっても当時の映像がはっきりと再生されることがあります。メディアで重大ニュースとして取り上げられ、多くの人が話題にしたことにより、重要なことだと感じとったのです。
こうした鮮明に蘇る記憶を、フラッシュバルブ記憶といいます。人間関係や恋愛などの個人的な経験も、自分にとって重要なら胸に深く刻まれます。特に十代~二十代の体験は、人格形成に影響するので重要性が高いです。
ささいな失敗や悪口を言われたことなども、やたらと重く受け止める性格だと頭に残りやすいです。ネガティブ体験を繰り返し思い出す人は、人生の重大事件としてよくない出来事を受け取っている可能性があります。
嫌な体験がトラウマになる理由は自己防衛
強烈な感情をともなう出来事は、強く印象に残るといわれています。自分にとって脅威となるような体験をし、恐怖や不安、傷つきなどのネガティブな気持ちを強く感じることが、トラウマができる原因です。
トラウマから立ち直れないのは、脅威を忘れないための一種の自己防衛です。いつまでも覚えていることで、二度と同じ目にあわないように気をつけられるし、もし同じ事態に陥ったときは身を守ることができます。
何年たっても昔の出来事に執着してしまう場合は、潜在意識では忘れたくないと思っている可能性があります。嫌いな人がいつも頭に浮かぶのも、忘れないことでこの先も相手を恨み続けるためとも考えられます。
忘却のメカニズム
心理学において、忘却が起こる原因には、いくつかの説があります。まずは、時間の経過とともに記憶が薄れていくという減衰説です。幼少期の出来事は、成長するにつれ、詳細に思い出せなくなっていきますよね。
そして、ほかの情報によって記憶が妨害されるという干渉説です。例えば、名称が変更されたものをつい前の名前で呼んでしまったり、トランプの神経衰弱でゲームが進むほどに困難になっていくなどです。
さらに、頭の中に記憶は保持されているのだけど、それを見つけるための手がかりがないから想起できないという検索失敗説もあります。ど忘れがまさにこの状態で、ヒントを与えられれば思い出せることがあります。
嫌なことの忘れ方
嫌だったことを思い出したくない、記憶にとらわれる日々から立ち直りたいなら、まずは未完了の思いを解消することです。そのエピソードについてあなたがどう感じたか、気持ちを言葉にしていきます。
思いを言語化することは、心の回復に役立ちます。そして感情の解放には、紙に書くことがおすすめです。メモ用紙に箇条書きにしてもいいですし、日記風にノートに綴ってもいいです。
「あんなことがあって本当につらかった」「〇〇のことはすごく悲しかった」こんなふうに、つらい、悲しい、苦しい、寂しいといったネガティブな思いに着目して行います。
もしくは、「あいつにマジでムカついた」「あんなことをしてしまって恥ずかしかった」といったふうに、怒りや恥、罪責の感情です。誰かに見せるものではないので、本音を吐き出してみてください。
トラウマから立ち直る方法はイメージで乗り越える
あなたの望む状況を、こうなってほしいと思う世界を、目を閉じて想像してみてください。ひどい目にあった過去を乗り越えられないときは、何事もないハッピーな自分の様子をイメージします。
いじめの記憶を何回も思い出してしまうなら、いじめっこをやっつけるあなたや、周りの人たちと仲よくしている自分の姿。ミスしたことを引きずるなら、失敗のない自分や、ミスにちゃんと対応できている姿です。
急に襲ってくる怖い記憶を克服したいなら、逃げるのではなく、イメージの中で対峙することです。ある意味これも、記憶の上書き、塗り替えです(トラウマとの向き合い方は、無理ない範囲で行ってください)。
そして、「もう安全だ」「私には対処できる」「何も恐れなくていい」と何度も無意識へと語りかけ、安心することが自己防衛の対処法のコツです。これらの言葉は、嫌な記憶を消すおまじないにもなります。
つらい過去を手放す方法は小事だと思う
個人的なエピソードを重大にとらえすぎないことも、過去を振り返る癖の直し方です。「誰にでもあることだ」「大したことなくてよかった」「今はもうどうでもいい」と思い、ぐるぐる思考を改善します。
ひどいことをされた相手のことを頻繁に思い出す場合は、相手を人生のキーマンだと思ってはいませんか?もっと大事な人がいることに気づいて、その人たちのことを考えることで過去から抜け出します。
気にしないようになりたいなら、「今後は関わることはない」「私は元気にやっている」と、現在を前向きにとらえることに取り組みます。執着を断ち切ることで、恨みがある人物を忘れられるようになるでしょう。
人為的に記憶を消す方法
検索失敗説に則るなら、過去のエピソードを想起させるものが身の回りにあると、記憶が蘇りやすくなります。忘却できない出来事があるなら、普段の生活では、その内容にまつわる物や話題は避けることです。
失恋の思い出を消したいときに、元カレ・元カノとの記念品を処分するのは理にかなっています。反対に愛や喜びを呼び起こす物に触れ、いいことを想起する回数を増やすのも、不幸な体験の手放し方です。
さらに、新しい記憶を作っていくのも、嫌な記憶の消し方になります。新たな情報の干渉によって、古いメモリーを思い出しづらくなるからです。今を充実させて、よい出来事を重大ニュースだと思います。
つらすぎるから考えたくないというときは、意図的に別の情報を取り込む(スマホを見る、人と会話するなど)ことが、トラウマから気を紛らわせる対策です。干渉説を用いた記憶をコントロールする方法です。
つらい気持ちを忘れられないときの付き合い方
職場や学校で最近起きたことを思い出しやすいのは、当たり前の現象です。とても悲しい体験なら、ふとした瞬間に回想して泣くのも無理ないです。記憶を完全に消去することに固執して、イライラしないことです。
どうしても嫌なことばかり考えてしまうときは、「ムカつく」「ひどい」「悲しい」などと感情を一言吐き出すと、気分を切り替えられます。そして嫌な出来事は、時間とともに忘れていくものです。
すぐに消えないとしても焦らないことが、つらい記憶のストレスを受け流す方法です。精神的につらいときの乗り越え方もおすすめです。恋愛の傷心を癒やす方法は、失恋したときの立ち直り方で解説しています。
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