自分を許す方法|過去の過ちで自分を許せない心理との向き合い方

チベットの祈りの旗

恋人を裏切ったこと(浮気・不倫)に、最低なことをしたと後悔している男性。家族や友達を傷つけたあの時の自分が許せないと感じている女性。仕事でミスしたことや、スポーツでの自分の失敗が恥ずかしい人。

悪いことをしたりずるいことをしてしまった、昔の自分が嫌いな人。本日は、過去の過ちで自分を許せないときの心理学です。思い出すたびに苦しい過去を乗り越える、自分を許す方法をお教えします。

罪のない人間になろうとするのが、自分の過去の行いを引きずってしまう人の特徴です。自分の許し方のワークは、「真の償いの道を歩む」です。それでは、自分を許すにはどうすればいいのかを解説していきます。

人を傷つけた自分が許せないときの心理

人は誰もが、できれば自分のことをいい人間だと思いたいし、他者から愛される存在だと思っていたいです。そのため、自分に悪い面があることを受け入れるのが難しく、それには痛みをともないます。

どうしても自分を許すことができないという人は、私はひどい人間だと感じて苦しんでいるのは事実でも、深層心理では自分が他人を傷つけたり罪を犯した人間だと認めたくない気持ちが強いのです。

私には罪がないと思っていたいので、心の自己防衛が働くのです。だけどかえってそのせいで、自分の過ちがどうしようもなく浮き彫りになり、私はひどいことをしてしまったという自己嫌悪が激しくなります。

これは、完璧主義の傾向でもあります。いつまでたっても仕事で失敗した自分が許せない人も同じく、間違えのない完全な私でありたいと思っているから、ダメな自分や恥ずかしい自分を認めたくないのです。

過去の過ちが頭から離れない原因「人に許されない恐怖」

一度の過ちでも、裏切った自分を家族は愛してくれないと苛む。仕事で大きなミスをした私を、同僚は責めているはずだと想像する。悪いことをしてしまった私は非難されるという恐れから、そのことを誰にも言えない。

自分の過去の悪事によって、被害者から復讐されるという恐怖にかられるパターンもあります。人間は社会的動物です。他者との関係性なしには生きていけないといった不安で、人に許されたい思いが増していきます。

これも一見、罪の意識で苦しんでいるようでいて、実は自分を守ろうとする気持ちのほうが強いのです。自分のことが許せなくてつらいという思いが、他人に許してもらえない不安や恐怖からきていることもあります。

自己への許しとはどういうことなのか

私たちはしてはいけないことをしたと感じたとき通常、取り返しのつかないことをしてしまったと悔いたり、大切なものを傷つけてしまった悲しみを抱き、落ち込んだ気分になります。

さらにそこから、自分が傷つけた相手を癒やしたい、壊してしまったものを修復したいという償いの気持ちが自然と生じます。これが精神分析家、メラニー・クラインの提唱した抑うつポジションの概念です。

罪を償いたいという気持ちは、ある種の前向きな感情です。抑うつポジションから前向きになれることこそ、自分への許しになるといえます。自分を許せない気持ちが強い人は、償いへの道にまだ進めていないのです。

なぜなら、罪悪感と向き合うことはとても苦しいので、無意識に自分の心を守ろうとして考えるのをやめたり、自分のしたことは大したことではないと思い込もうとする自分自身もいるからです。

強迫的な謝罪や偽の償い(浮気の罪悪感から夫・妻に優しくしたりプレゼントを贈るなど)で、相手はもう平気だ、私は許されたと考えることもあります。これを、躁的防衛や躁的償いといいます。

過去の過ちとの向き合い方

悪い自分も自分の一部だと受け入れることが、過去の過ちを引きずるときの克服法です。自分がなぜよくないことをしてしまったのかを考えます。他者への思いやりを忘れ、自分本位になる私がいたことを認めましょう。

ダメなことをした、恥ずかしいことをしてしまったといった気持ちを感じ、その苦痛に耐えながら、自分という人間を見つめます。そして、どんなに忘れたいと願っても、私の罪は消えないという絶望を受け入れます。

己を省みる過程で、今まで考えないようにしていたけど子供の頃から大人になった今も、自分がたくさんの罪を犯していることに気づき、自らの考えの足りなさ、罪深さにさらなる絶望感を味わうかもしれません。

自分の過失の背景にある心の事情も考えます。家庭の問題。周りの環境が悪かった。当時は精神的なストレスでいっぱいいっぱいだった。愛されなさや孤独感、あなたにもかわいそうな面があったのではないでしょうか?

自分の罪と向き合うことは、精神的にかなりきつい作業です。時間もかかるし、何度も挫折しかける瞬間が訪れるでしょう。そんなとき自分を慈愛の眼差しで見ることが、抑うつポジションを抜け出す助けになります。

昔したことで苦しいときの対処法は自分の行いを反省する

人から許されないことを怖がっている自分がいる場合は、自分が傷つけたり迷惑をかけてしまった相手の気持ちを考えることです。相手の悲しみはどんなものだったか?不快な思いをせてしまったのではないか?

相手の心の痛みを想像することが、過去の悪い行いの反省になります。そのうえで、同じ過ちを繰り返してはいけない、これからは他者を傷つけないよう気をつけなくてはといった気持ちを実感します。

世間の声が気になる自分がいるなら、自分自身が反省の気持ちを持てているかどうかが肝心だと思います。そして、こんな罪深い自分を愛してくれる人や許そうとしてくれる人がいることに感謝しましょう。

自分の許し方「償いの気持ちを抱く」

償いとは、一般的には謝ることや相手が困ったときに助けること、損害を与えた場合は補償することです。しかし、それをしたからといって相手の心の傷がすぐに癒やされるわけではありません。

また、償いができても、自分のしたことがなくならいこともわかっておきましょう。日々反省の気持ちを忘れないで、同じ間違いを繰り返さないよう注意し、相手の気持ちを思いやれるようになることが何より大事です。

相手が自分と会いたくないと思っている、よく知らない人に迷惑をかけてしまった、バレていない浮気を告白することで好きな人が傷つく心配があるといったケースでは、どのように償えばいいかわからないですよね。

その場合は、実際には相手に何も償えていない申し訳なさを抱えながらも、周囲の人に愛を持って接したり、自分のできる範囲で社会に役立つことをしようと思うことが罪滅ぼしになるでしょう。

仕事やスポーツでの失敗なら、同じミスはしないようにする、職場やチームに貢献するといったスタンスです。あるいは、まったく別の道で前向きな生き方を模索するのもよいでしょう。

罪をなくそうと犠牲的に償うのではなく、私には罪があるからこそもっと思いやりのある人間、善良な人間になろうと前を向いて生きていくことが真の償い「更生」であり、罪悪感を和らげる自分を許す方法です。

自分を許すのが難しいときの対策は他人を許す

他人の間違いを大目に見ることは、自己非難を解消するきっかけになる場合があります。あなたの人を容赦する寛容的な思いがそのまま、自分を許せるようになる言葉となるからです。

他人の過失をとがめないといっても、人のしたことを無条件に許容すればいいわけではありません。なんでもかんでも不問に処すのは、他者への愛ではなく、ただの甘さですよね。

人間の不完全さを受け入れたり、その人の苦しい事情や反省の気持ちを理解して、きちんと納得できたうえで人の過ちを許すことが大切です。情けは人の為ならず、その愛情によって、自分も救われるのです。

また、ちょっとやそっとでは人の過ちを許さないという人ほど、自分のしでかした行為をずっと引きずる性格だと考えられます(潜在意識のレベルで)。他者への許しについては、人を許す方法を参考にしてください。

自分を許す意味がわからない人へ

はたして、悪い行いをした自分を許してもいいのかと疑問に思う方もいるでしょうが、私は最低のクズだと自己攻撃に熱心になると、被害者を思いやったり間違いを改善していくことがおろそかになります。

さらには、自暴自棄になって大切な人たちを悲しませたり、私が一生許されないのだから私を傷つけたやつらも絶対に許さないと他者を憎悪し、本当の悪人になってしまうことさえあるのです。

自分だけでなく他人や社会のためにも、自分を許していくことは大事です。罪悪感に苛まれる人の心理と癒やし方や、自分を責めすぎる心理を手放す方法も、自責の念にかられる状態からの解放に役立つ記事です。

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